2024年7月21日
金融教育について
「金融教育(きんゆうきょういく)」という言葉をみなさんは聞いたことがありますか?一見するととても難しそうでどんな教育かイメージがつきにくいと思います。
ウィキペディアによると、「金融教育とは、お金や金融の様々なはたらきを理解し、それを通じて自分の暮らしや社会について深く考え、自分の生き方や価値観を磨きながら、より豊かな生活やよりよい社会づくりに向けて、主体的に行動できる態度を養う教育である。」と定義されています。
この説明も難しいですね。
例えば、1,000円のおこづかいを子どもたちがもらったと仮定します。
Aさんは、全額ほしいものを買い、Bさんは半分ほしいものを買い、残りは貯金し、Cさんは全額貯金し、Dさんは1,000円ではほしいものが買えないのでおこづかいの前借りを家族にお願いし、Eさんはもっと増やせるかもしれないと株を買い、Fさんは寄付をしました。
どの行動も正解です。
大切なのは、「なぜ、そうしたのか?」「その後はどのような結果が予測されるのか?」をしっかりと自分で考え、納得した上で決めたのかということです。
「お金」はどこからともなく湧いてくるものではありません。ご家族の方が労働の対価として得た大切なものなのです。
お金の大切さ、重みを子どもたちに知ってもらうために「お金」についてご家族で話をしてみてはいかがですか?
金融教育の現状
日本は「お金は不浄なもの」「お金の話は子どもたちの前では話してはいけない」などと考えられていた時代もあり、オープンマインドでお金の話ができる環境が整ってこなかったのが実情です。
一方、アメリカでは子どもたちへの金融教育は当然だと考えられており、特に個人のお金の計画や管理に関しての運用知識とリスクについてゲームなどを通して学べる金融環境が整っています。
イギリスでは、2014年から公立学校のカリキュラムで金融教育が必修科目となっています。3歳から金融と経済について学習し、小学校卒業までにお金に関する社会構造の理解を目指していきます。
特徴的なのは、様々な科目の中で、「おこづかいの使い方」や、「ともだちが貸したお金を返してくれない」、などのテーマについて議論をし、お金に対する考える力を高めるところにあります。
フランスやドイツも金融や経済、銀行について学べる制度があります。
早い時期から金融教育を行っている諸外国に比べて、出遅れてしまった日本ですが、2022年4月から高校(家庭科)で金融教育が必修科目となりました。
この背景として、民法改正により成年の年齢が18歳に引き下げられたことでクレジットカード発行やローンを組めるようになり、金銭トラブルにつながる可能性が大きくなったことが挙げられるでしょう。
昔のような「現金払い」ではなく、「クレジットカード」や「電子マネー」など目に見えないお金の流れが主流となり、「お金」について子どもたちにどのように教えたらよいのか更に難しくなってきましたし、私たちの世代には金融教育の制度が整っていなかったので、どのように教えたらいいか戸惑うご家族の方も多いと思います。
いろいろな金融教育
「お金」は、私たちの生活で欠かせない存在ですが、正しい知識を身につけることにより、複雑化する金融商品や消費に関するトラブルを未然に防ぐことができます。
そこで、国をはじめ様々な機関が必要な知識を学べる環境整備に取り組んでいます。
例えば、金融庁は「うんこドリル」とコラボし、クイズをとおしてお金や経済の仕組みを学べるサイトを運営しています。
民間の金融機関は職場体験やお店開業体験などのイベントやセミナーを行い、お金を楽しく学べる場を提供しています。
税理士も「租税教育」を行い、税金が私たちの暮らしと密接に関わっていることを教えています。
火災や事故、事件が起こったときの消防車や救急車、パトカーは税金がなかったらすべて有料になるの?、信号や道路は?など、当たり前だと思っているサービスが実は国民が納める税金から成り立っていることを伝えています。
そこで、金融機関などが主催する、親子向けのイベントに参加して、子どもたちと一緒にクイズやゲームを楽しむのも金融教育を学べるいい機会だと思います。
お金の使い方、蓄え方、増やし方、借り方、リスク、ライフプランなど、お金に関する様々な知識を子どもたちと一緒に楽しみながら「学びなおし」をすることで、ご家族の方はお金に対する知識が増えるだけでなく、親しみと楽しさを感じることができ、子どもたちは、「お金」をとおして、「生きる力」を育むことができるでしょう。
※今回は、多摩信用金庫様主催の 金融教育の取り組み~たましんすまいるプラザによる親子向けイベント~に参加させていただいた際の寄稿を掲載しております。
イベントの様子は、下記リンクをクリック!